やっぱり、長編だったせいか、面白かった。
文庫本で上下巻だったけれど、猫に邪魔されつつも、二日で読めた。これは、文章が理解できない症を発してから、初の快挙だ。
「鎖」は、凄惨で不可解な拝み屋宅での四人殺害事件で始まる。大人四人の血まみれ遺体が布団にきちんと寝かされているという、猟奇殺人かと思われるような事件。
しかし、金融犯罪へと繋がっていて、捜査中に音道刑事は誘拐されてしまう。「凍える牙」で相棒だった、皇帝ペンギンみたいな体型の中年刑事も活躍する。
強盗、殺人、誘拐、監禁、詐欺、DV、レイプなどなど、あらゆる犯罪がてんこ盛り。で、ロクデナシキャラもてんこ盛り。
誘拐されてしまって活躍できない主人公も、最後にはやってくれるし、その恋人のキャラに温もりを感じられ、読後感が良かった。
で、この前作の短編集「花散る頃の殺人」を読まなくても問題なく読めるが、読んでおくとシリーズ物感を味わえるということが分かった。
短編で出てきたキャラが「鎖」の主要キャラとして出てくるので。
上の記事では「OL感」があって、好みじゃないと書いた。「鎖」でも、音道刑事の女性的な心の声に、ちょいちょい「むーん」となるけれど、事件で大変な目にあっているので、あまり気にならない。
やっぱり、長編が面白いみたいだ。だが、シリーズはこのあと2冊短編集。シリーズ最後の「風の墓碑銘」を充分楽しむために、読んでおく予定だ。
自分の創作活動は遅々として進まないが、読書できる喜びが今は大きい。
シリーズ物が好きなので、自分でも「猫が人のふりして作曲家している」に収録していただいた「バク・スミスの小夜曲」の第2弾を書きたい気持ちがあるのだが、やはり読書できる喜びが先行してしまう。
まだまだ読むスピードが遅いが、ちょびっとずつでも速くなっているのがまた嬉しい。読みやすいものに限られるけれど。
「猫が人のふりして作曲家している」は文庫本・CDなど、予約は終わったけれど、在庫はあるようです。