おこもりさんも大海の夢を見る

諦めず、焦らず、時に倒れても海を目指して、ほふく前進する引きこもりの雑記ブログ

「花散る頃の殺人」乃南アサ / シリーズなのに短編集だった

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「凍える牙」が面白かったので、シリーズ第二弾を借りてみたら、短編が六本入っていた。

で、今更気が付いたのだが「女刑事 音道貴子」とシリーズ名が表紙にある。「女刑事」って、看護婦が看護師となった時代にちょいと感覚が古いんじゃないか。そう思ったので、いつ頃書かれたのかと思ったら1999年だった。

1999年っていったら、私がバリクソ忙しく働いていたときじゃん。2000年問題とかあったよなぁ。ユンケル飲んで頑張って、時には点滴打ちながら仕事してたなぁ。でも職業に「女〜」って付けるほど昔かしらん。

じゃ、「看護師」って言われるようになったのはとググったら、2002年だった。

昔だったんだな。

シリーズ名が決まってしまったからか、2006年の「風の墓碑銘」も「女刑事〜」になっている。

一方、男性が圧倒的多数の刑事と言う仕事において、女性であることがいかに不自由かと言う場面はよく出てくるので、あえて「女〜」をつけているのかもしれないとも思った。

「女〜」が気になったのは単純に時代感覚であって、私が差別に敏感だとかいうことではない。

結構頻繁に誤解されるが、私にフェミニストの思想は無い!これは強く言っておきたい。

もちろん頭に来ることがあれば、文句は言う。それは差別問題だけではなく、嫌なことは「やなこった」と言う性格だからだ。

フェミニズムはそれなりに歓迎するが、私自身は声をあげたりはしない。とんでもない差別が行われている現場に居合わせたことがあるが、墓場まで持っていく話だ。

穏やかに静かに暮らしたいんだもの。

 

本の中身の話をしよう。

センセーショナルな事件はなく、どちらかというと刑事の生活と仕事といった部分を書きたかったのかなと感じた。私には若干退屈だった。

乃南アサは長編の方が面白いのかもしれない。

シリーズ6作品のうち、長編と短編集が半分半分なようだ。

6作品目が長編のようなので、短編を飛ばすのは嫌だなぁ。主人公のやっていることはカッコいいのだが、心の声がどうにも所謂OLっぽくて、好みじゃないのだ。

悪い言葉で言うと「澄ましてやがる」ってやつだ。

家庭環境も「なんで白バイとか刑事なの」ってくらい、普通な感じ。普通はよく知らないが、極端な家庭ではないと言う意義で普通と判断した。

でも、そういう所が広い読者層に受けているのかもしれない。

個人的には「アンフェア」の「雪平夏見」の方が好みだ。カッコいいヒロインだと思う。音道もカッコいいが、雪平ほどブッとんでいない。

と、ここまで書いて気が付いた。音道貴子というヒロインの人格がリアルなんだ。やっていることは、ヒョエーっと引くほどハードでも、家族や周囲の人々や会話がリアルなのだ。

どっかで聞いたようなセリフだったりするのだ。友達や同僚の愚痴に出てきそうな、そういう言葉なのだ。

 

リアルは不要って人は、長編だけ読むと良いかもしれぬ。共感できる本を読みたい人は短編だけでいいかもしれぬ。

私はシリーズを総ざらいしたい欲望があるので、全部読むという選択肢しかない。

 

 

女刑事音道貴子 花散る頃の殺人 (新潮文庫)