ビョーキがじわじわと頭を侵食してきた。
「なんもかも捨てたい病」だ。2年に一度くらいのペースでやって来る。
この病によって私は以前、パスポートと貯金通帳とハンコを捨てている。後々すっごく大変な目にあった。パスポートなんて、再発行のとき紛失の理由書みたいなのを書かされた。出来の悪い学生のような気分になった。
ずっと前は、2年に一度引越しをしていたので、その度に荷物がスッキリして良かった。収入もそこそこ良かったし、バンバン捨てても問題なかった。
しかし。今のところへ引っ越した理由が、病気による失業だったので、引越しの時に体が動かず、精神力もなく、殆ど(当社比)捨てられなかったのだ。
住まいの面積が半分以下になったのに、荷物がいっぱい。捨てたい。必要のないものは全部捨てたい。
私の理想はホテルとかモデルルームに近いくらい、物が少ない生活。だから、装飾品などはいくら気に入っても買わない。
猫のおもちゃが色々あるが、それは仕方がないので目を瞑る。猫の優先順位は高い。
このビョーキは、不安になるとじわじわ染み出て来る。
今回のは、事情があって「もしかしたら実家から連絡が来るかもしれない」という不安だ。もう何年も音信不通にしている。
まだ、連絡は来ていないし、来ないかもしれない。なのに、落ち着かない。
何とも情けない話だ。
別にとって食われるわけでもなく、暴力を振るわれる可能性もゼロだ。
それでも、嫌なのだ。ほぼ縁をきっている状態だが、本当は完全に行方不明になりたいくらいなのだ。が、それがなかなか難しいし、そこまでする必要があるかと言われれば、追いかけてくるわけでもないから、冷静になれば今のままで良い。
でもでも・・・・と面倒臭い思考が巡る。自分の尻尾を追いかける犬みたいだ。
で、自己嫌悪。
酩酊状態になるまで酒をかっくらいたいが、そんなんでアル中になるのも悔しい。
そこまで実家を嫌うわけは、色々あるのだが、親兄妹と会話が成立しないことが大きい。一旦通じたと思っても、彼らは記憶を変えてしまうし、人の気持ちを理解しない人たちなのだ。つうか、「気持ち」なんて彼らには意味がない。家族のことに興味もない。
平気で嘘をつく。それも、どうでもいいような嘘から、絶対にタブーな嘘まで。その上そこに人を巻き込む。
そこに悪気も悪意も一切ない。だから、どうにもならない。
実家の隣近所で、私は子持ちってことになっていて、実家にたまに孫を連れて行くと言う設定になっている。
私は帰らないし、子もいないし、これから出来る可能性もない。
彼らは読んだものを一回で暗記してしまうという特性があるので、なんらかの障害なんだろうと思っている。
私自身もひょっとすると障害傾向があるかもしれないが、私には暗記がまるでできないと言う特性がある。出来ると出来ないじゃ大違いなので、虚しい。
感情に伴う長期記憶という要らないものはあるんだけど、精神衛生上悪いばかりで使えないので、そんな特性は記憶ごと捨てたい。
あああ、だめだ。ストレスで、物を捨てたくなるるるる。
ほげ。