レストランで突然、客の一人が燃えるという事件が起きる。愛想のない女性刑事が中年男の刑事と組まされ、事件を追っていると、犬(ウルフドッグ)に咬み殺されたと思しき事件が起きる。一見関係のなさそうな二つの事件。一方、ウルフドッグによる殺人事件は次々と起きて・・・。
3ページ目で事件が起きて、これはスピーディーな展開だね、なんて思っていたら、ウルフドッグがなかなか出てこなかった。
ウルフドッグの話なのは知っていたので、ジリジリしながら読み進めた。
で、やっとこ咬み殺された死体が出たら、後はもう一気読みだった。
最初の方では「字が小さくて読めなーいっ!」と文句を言いながら読んでいたのが、嘘のよう。でも、印刷の文字組みは頂けないと言っておきたい。
極端な男性社会で働く女性刑事の苛立ちや余計な疲労。誹謗中傷や揶揄や嫌味を「しれっ」とスルーして見せる強い主人公に惚れ惚れ。
会議に出席するのに「お前は発言するな」と予め言われて、ブチ切れていたことを思い出し、恥じ入った。私はまだまだ甘かったな。うむ。
ところで私は猫好きだが、実は犬好きでもある。しかも大きい犬が好き。だって、犬に子守されながら育ったから。
父親の趣味の一つに猟があって、だから我が家では、いつも猟犬を中型から大型まで何頭も飼っていた。犬たちは皆んな私に優しかった。でも一匹だけ、どうにも懐いてくれないのが「甲斐犬」だった。
徹底していて、触らせてもくれない。父親以外から与えられる餌は、どうしても食べてくれない。そういう犬種なのだ。ワンオーナー犬。
ウルフドッグもワンオーナー。ウルフドッグは憧れの犬。あのシュッとしたところや、無駄吠えしない知性など、私のタイプだ。
しかし、チャンスがあっても絶対に飼わないと決めている。飼えない事情(例えば災害とか)が出来たときに、犬がかわいそうだからだ。預けた時にご飯も食べてくれないのでは、あんまりだ。
この小説で出てくるウルフドッグも神秘的で健気な奴。もう不憫で不憫で、泣けた。
2回ドラマ化されているらしく、女性刑事を天海祐希と木村佳乃がやっているとwikiさん情報。観たい!だが、DVD化されてないようで無念じゃ。