日本中にニワカファンが増殖していることだろう。普段はへそ曲がりで、流行になんて絶対に乗らない私が、日本戦だけとはいえ観ているのだ。
オリンピックでさえ、ちびっとしか観ないのに。来年のオリンピックだって、観るのは数時間だろうと思っていたが、この様子だとガッツリ観るかもしれない。
ラグビーは、ルールが分からない。だが、ボールは後ろに回すってことや、点数の入り方くらい分かる程度で、充分に楽しめた。
やっぱ、肉弾戦はコーフンする。
ロシア戦もコーフンしたけれど、アイルランド戦はアドレナリンが噴出した。小柄な日本人選手が弾き飛ばされたり、持ち上げられちゃったり、驚きの連続。その中で、日本のパス回しやトリッキーな動きが面白くて仕方がなかった。
単純な肉弾戦ではないから、コーフンするのだ。
もっとも、寒くて乾いた気候がベースのアイルランドの選手に、少し秋めいてきたとはいえ、日本の高温多湿は辛かろう。しかも巨体揃いだから、ちょっと気の毒である。
その体格差たるや、ダンプカーVS軽自動車。一人のアイルランド選手に三人でタックルしに行っても、一人は軽く弾き飛ばされてしまう。
後半戦の途中で、アイルランドが力任せ戦法に出た時なんかは、あまりのどすこいぶりに「おおお」と口が開きっぱなしになってしまった。
正面突破の連続は圧巻だった。そういう楽しみ方もあるんだろう。
しかし、何につけても小兵好きの私としては、フットワークやパスワークで、巧みな技を観るほうがやはりコーフンする。
ボクシングなどを観た後にも思うのだが、あれだけの闘志を燃やして、試合終了後に握手ができるって、精神力がすごいなと思うのだ。スポーツをやらない私には想像のできない境地だ。
しかも、アイルランド選手のインタービューときたら、表情筋までも清々しいではないか。
うっかりすると死にかねない戦いをした後に、どういうバランスで脳内物質がコントロールされているのだろう。
また、日本チームの方も、試合終了直後にストイックなコメントばかり。格上に勝ったのだから、もっと飛び跳ねて、喜びを解放したりしないのか。ストイック気持ちを持続したまま、2ヶ月以上過ごすのか。
壮絶。
あと何回、この血湧き肉踊る試合を観られるだろう。あまりコーフンするのは、健康によくないので、今後も日本戦以外は観ないようにしようと思っている。
だが、どうやら私はサッカーや野球より、ラグビーの方が好きみたいだ。他の試合も薄っすらと気になってきている、気がする。