おこもりさんも大海の夢を見る

諦めず、焦らず、時に倒れても海を目指して、ほふく前進する引きこもりの雑記ブログ

中島みゆき沼にハマりかける

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「わかれうた」を子供の頃に聴いて、哀しくなった。もちろん、恋も愛も知らないから、正しく理解はしていなかった。出だしの「途に倒れてだれかの名を呼び続けたことがありますか」というところだけで、泣けたのだ。私は小学校の低学年だったと思う。ものっすごい哀しくて切なくてという歌だということは分かったが、私の頭の中に浮かんだ「だれか」は「ばあちゃん」だったと記憶している。

 

「わかれうた」作詞:中島みゆき

途に倒れて だれかの名を

呼び続けたことが ありますか

人ごとに言うほど たそがれは

優しい人好しじゃ ありません

 

別れの気分に 味をしめて

あなたは 私の戸を叩いた

私は 別れを 忘れたくて

あなたの眼を見ずに 戸を開けた

で、もう少し大きくなってから聴いてみたら、重たい女とひでぇ男の話だった。別れておきながら、「味をしめて」またやって来る男、サイテーだ。水でもぶっかけてやれ。などと思うのだが、この女は「戸を開け」てしまうという。なんでじゃ。若かった私には理解不能な心理だった。

だが、それなりに・・・いや、かなり重たい恋愛もしたりして、この孤独であろう女性の気持ちがわからないでもないな感じになって涙した。

で、歳を重ねた今、だれかの名を呼び続ける気力も体力もないことに気づく。元気だねぇ、と感心するばかりだ。倒れたら「キュ、救急車・・・」って息も絶え絶えで言うのが精一杯だろう。

年齢によって、また辿ってきた人生のあり様によって、感想が変わる。中島みゆき、すげぇ。

でもまあ、子供のうちはテレビやラジオでたまたま流れれば聴くくらいで、私はちゃんと洋楽だのロックだのニューミュージックだのの方向へ流れていった。マイケル・J、マドンナ、レベッカ、小比類巻かおる、浜田麻里。健康的で何よりである。

 

しかし、これを耳にしてしまった。最初はサビしか知らなかったので「中島みゆきも応援ソング歌うんだー、へー」と漠然といいなと思っただけだった。が、知ってしまうのだ。サビ以外の所の歌詞が、すっごいパンチかましてるってことを。

「ファイト!」作詞:中島みゆき

ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる

悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

 

私 本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で

ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い

私 驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった

ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です

 

--- 中略

 

暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく

光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから

いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね

やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく

 

ちらっと聴いたときに「つきとばした女のうす笑い」の辺りだったので「ホラーだっ(怖ぇえっ!!)」と背筋が凍る思いがして、すご後のサビとの落差が更に怖かった。

だが、若くてとんがっていた頃だったので、何度か聴くうちに「ただ怖くて逃げました」って所に関しては、何が「ファイト!」じゃ、と毒づいた。

これもまた「わかれうた」と同様に、歳を重ねて「私の敵は私です」といっている辺りに真摯さを感じる様になり、確かに「ファイト!」だなぁ、と思う様になったんである。

「こぶしの中 爪がささる」とか、「光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗」とか、辛い境遇のことを、中島みゆきは何故知っているのだろうか、と関心を持った。ラジオの中島みゆきは明るく、ぶっ飛んでいる。実際に「こぶしの中 爪がささ」っていた私は、あの明るさは辛い境遇の反動なのかしらと勘ぐったりして。

今、読み返して思うのは、この歌詞の中の「ファイト!」は重みがある。虐げられているもの、自己嫌悪に傷つく繊細さ、人から嗤われても戦うことを放棄しない意固地さ、それら全てを受け止めてからの「ファイト!」なのだ。

明るい未来や、夢を叶えるための頑張りなんかじゃない、必死に真摯に生きる者たちへの、あえて明るく優しい声の「ファイト!」なのだ。なんという包容力。中島みゆきの信者になろうかとすら思った。まさに沼に自分からハマりに行きたくなっていた。それって私にとって、全曲制覇とかそういうことなのだが、危ないところで思い直した。私は中島みゆきワールドに絡め取られている場合ではなかったからだ。その時、戦闘真っ只中で、じっくりと音楽を聴いていられる状況にいなかったのだ。その時必要な音楽は、私に勢いをくれるハードロックだった。

でもって、今。自分で書き始めちゃったので、影響を受けそうなモノには、あまり近寄らない様にしていたりする。詩を書き切ったと思えるか、自分の文章を勝ち取ったら、その時は聴くんだ。大事に取って置いているのだ。

ショートケーキは苺から食べる派なんだけど。

 

 

今週のお題「わたしの好きな歌」