「歯医者恐怖症」ってのがある。私はこれの重症患者。
歯石を取るのさえ、静脈鎮静法でないと無理。
狂乱すること必死。
そうなるには、聞くも涙語るも涙の物語がある。
重症化する前に、こんなことがあった。
とっても上手な歯医者さんがいると、紹介されて行ったところ、
たまたま若先生が不在で、高齢の先生しかいなかった。
高齢の先生が腕のいい歯医者だと勘違いした私は、そのまま椅子に。
いざ削るとき、ドリルを持つ手が震えているではないか。
当然のことだが、ドリルは私の歯茎と唇に当たり、大出血。
それなのに、爺さんは私を怒鳴りつけた。態度だけは大先生だった。
手が震える歯医者は引退して、二度と現場に出てくるな。
年月を遡って、小学生のときのこと。
歯科大学の教授が開業し、インターンの受け入れをしていた。
教授は席を外していて、インターンの男子3人しか治療室にいなかった。
学生の悪ノリだったのか、ストレス発散だったのか、
インターンは「ここ、痛いだろー」と嬉しそうに言いながら、
更に、虫歯の一部を取り除いた後、そのカケラを嗅いで、
「くっセー!」と微笑い、他のインターンにも嗅がせてはしゃぎやがった。
小学生の女の子相手にだ。
また、これは二人もの別々の歯科医院の歯医者がそうだったのだが、
麻酔なしで削るとき「痛かったら左手をあげてくださいねー」
私は痛かったので素直に左手をあげた。
「ここは痛くないっ!」
歯医者は怒って、そのまま削り続けた。
ドリルの振動により隣の歯が痛かったと思われる。
とんでもなく、痛かった。
また、別の・・・・このくらいで止めておこう。
歯医者の様々な不快な音に加え、歯科医不信。
歯医者に行くぐらいなら、自分で引っこ抜く!ってなくらいの恐怖症。
実際、何本かは自分で抜いたし、正露丸を詰めてしのいだりしていた。
それが、静脈鎮静法ならば、寝ている間に全てが終わるのだ。
しかも、イヤフォンをして音楽を聞いた状態からの眠り。
注射に関しては練習台になってもいいよってくらいなので、
この治療法は私にとても合っていた。
しかも、私は普段、脳に酸素が不足しているらしく、吸入器で鼻から入れると、
頭がスッキリして、爽快になる。
健康な方々はこんな状態で生活しているのかと思うと、羨ましくて仕方ない。
家にボンベと吸入器が欲しいくらいだ。
これは歯科医から聞いた話だが、歯医者の音が嫌だという人が私の他にもいて、
その人は競馬中継を録音した物をずっと聞いているそうだ。
音の途切れ目がないのが良いらしい。
歯医者恐怖症の方には、静脈鎮静法、オススメなのだが、
一つだけリスキーなことがある。
それは、色々と喋ってしまうこと。内容は人によって違うようで、
私の場合は、ひたすら食べ物の話をしているらしい。
その話が面白いらしく、担当医にも麻酔スタッフにも笑われている。
私は何も覚えていないが、付き添っているツレは恥ずかしくて仕方がないらしい。
何を口走るかわからない静脈鎮静法。
チャレンジしてみる価値はあると思うけど、ヤバい秘密がないなら。
そこは自己責任で。