「嫌なことでも挑戦すると違う世界を見つけるかもしれない」
そんなことを学んだのは2000年のことだった。
体験ダイビングをしたのは、社員旅行で行ったサイパンでのことだった。
綺麗なお姉さん(先輩社員)に「やりたいから付き合って」
と頼まれて断れず、腹をくくって参加。
本当は、サイパンになんて行きたくなかった。
ましてやダイビングなんて本当に嫌だった。
まず、日焼けをしたくなかった。
雨も嫌なら、海水に濡れるのも真っ平だった。
何より、パーッと楽しむだけの旅行なんて、はっきり言って、バカにしていた。
自分でも嫌な女だったと思う。
だから、会社のお付き合いでもなければ、ビーチなんて一生行かなかったと思う。
当然、ダイビングなんてしなかったと思う。
しかし、私は腹を括ったら、猪突猛進な女。目的に向かってまっしぐら。
で、結局、四人で参加した体験ダイビング。
私だけが楽しめたのだった。
いやもう、海の中で見る魚の美しいこと!
白い砂にカラフルな熱帯魚に興奮して、鼻血が出そうなほどだった。
取り憑かれたと言っても過言ではない。
社員旅行から帰って、早速熱を出し、ぶっ倒れた。
これはいつものことで、体力的に疲れたり、興奮しすぎたり
考えすぎたりすると、いつも38度程度出るのだ。
ただ、この時は、あまりにも興奮しすぎたのか、
ついでに十年ぶりくらいで喘息発作を起こし、
抗生剤の点滴をしに病院へ通うこと五日間。
点滴しながら、ダイビング雑誌を読んでいた。
私は、バカになっていた。
サイパンの海で、耳から脳みそが流れたと思われる。
社員旅行から帰って一週間後、喘息の発作が収まり、
私はダイビングショップの門を叩いた。
泳げないのに。
で、一ヶ月後にはライセンスを取り、総額70万円近い機材を買って、
その二週間後には、慶良間のツアーに参加していた。
その間にジムに通い、少しだが泳げるようにもなった。
仕事は鬼のように忙しくて、残業もバリバリし、持ち帰り仕事に、
休日出勤もガンガンやり、栄養ドリンクを飲んで、何とか持っていた状況。
それでも、ダイビングに精を出していたのは、
何か怪しげな力が働いていたとしか思えない。
今でも本当は、ダイビングに行きたい。
金がないのと病気で、泣く泣く諦めているのだが。
何なら南の島に移住したいくらいだ。
G太郎とフナムシとカエルがいなきゃね。
私の天敵、虫と両生類、爬虫類が多いんだもの。
毎週末に潜れたら、病気なんて吹っ飛んで、
働けるかもしれないのになぁ。
とにかく、
2000年の私は、不思議なパワーを発揮していた。
今週のお題「平成を振り返る」